営業研修 マインドセット  3/9

第一ステップ アプローチ

商談プロセスの第一ステップはアプローチです。この時期の顧客にとって営業マンは「いらないものを買わせようとする警戒すべき人間であり、信頼できない人間」と考えています。また、「仕事も溜まっているので早く帰ってもらおう」というように考えるものです。この時期の課題は、お客様によい第一印象を与えること、そして警戒心を解くことです。

そこで、これらの商談の課題への対処法を検討していきます。

 

 

1 商談を左右する第一印象

私たちは、「人間は、外見で判断していけない」と教育されてきました。しかし、残念ですが、人間は、外見や職業、表情、仕草で相手の人格を判断してしまいます。例えば、「日本人といえば、メガネをかけている」というように、型にはめることが無意識下で行われ、これを「ステレオタイプ」と呼びます。同じように、私たちは初対面の人に対して、過去の経験により無意識に自動的に仕分けして、「このタイプの人」というように型にはめてしまいます。厄介なのは、一旦型にはめられると、そこからなかなか出してもらえなくなることです。例えば、初めて会った時に頭がボサボサであったりすると、「ルーズな奴」という型にはめられ、ずっとそのイメージを引きずります。

逆に、第一印象が良ければ、後々まで、「好印象」が続き、相手の言動を好意的に見る傾向があります。同じ提案をしても、第一印象が影響して、一方は「好印象」を感じさせ、もう一方は「悪印象」を感じさせてしまうのです。これを「第一印象の初頭効果」と呼びます。従って、第一印象に大きく影響する身だしなみやビジネスマナーには注意しておいたほうが良いのです。

人間には、「顔ニューロン」という神経細胞が脳の中心部の「海馬」にあり、「好きか嫌いか」という判断を行います。これは、理性を伴わない本能的な反応なので、「外見で判断していけない」と頭ではわかっていても、自動的に型にはめ込んでしまいます。これが第一印象の正体であり、深層に刻み込まれた記憶はなかなか変更させることができません。ですから、第一印象からなかなか抜けないのです。

また、私たちが、仕事をするうえで大切なことはビジネスマナーです。営業マンである以上、社会人に求められるマナーや言葉遣いが悪ければ、「悪印象」型に仕分けされてしまい、お客様は受け入れてくれません。また、あなたのアドバイスが正しくても、マナーや言葉遣いが悪ければ、お客様は話を聞いてくれません。

そこで、正しいビジネスマナーを身に付ける必要があるのです

 

1-1 お客様によい印象を与えるには

このように初対面の印象は尾を引きずりますので、第一印象は大切であり、初対面の時に違和感や不快感を与えないことが重要です。そのために、私たちは何をすれば良いのでしょうか?

実は、何が第一印象に影響を与えるのかという研究があります。アメリカの心理学者メラビアン博士は、人間が、話し手が聞き手に与えるイメージの調査を行いました。その結果、話の内容は人のイメージを決定するのは7%に過ぎないこと、第一印象を決定するのは、態度、表情、仕草など55%が視覚情報で、声の大きさ、テンポなどの聴覚情報は8%だということを明らかにしました。このように、第一印象は、話の内容より、視覚情報、聴覚情報に左右されるということです。したがって、第一印象をよくするためには自分の表情、仕草などに注意することが重要なのです。

 

1-2 コラム 笑顔の好感度実験

私たちは、「笑顔」「高いトーン」「キビキビした動き」という人は、「明るい」「信用できる」「積極的」「安心」というポジティブな印象を受けます。逆に、「暗い顔」「低いトーン」「動きが鈍い」人に接すると「暗い」「信用できない」「積極的」「不安感」というネガティブな印象をもたれてしまうのです。
それでは、笑顔ついてどのような効果があるのでしょうか?日本心理学会に論文として発表された「表情の変化が印象に与える影響」の研究があります。これによると、笑顔については、一番目に顕著な特徴として、相手に対して、親しみやすいなどの「好感度」を高める効果があり、次に外向的で強いなどの「活力性」というイメージを与える効果があることがわかりました。
つまり、良いイメージをお客様に与えるためには、笑顔で対応すること。こうすると、「好感度」が上がり、「活力」があるというというイメージを持ってもらうことになります。

 

1-3 良い印象を与える心の持ち方

良い印象を与える方法として、心理学では次の3つを重要視しています。

 

  1. ①受容的な態度  お客様を受け入れる まず笑顔で接します。笑顔はお客様の脳の快感情を感知する細胞を活性化します。そして、「なるほど」「そうですね」「いいと思います」のように相手を受け入れているサインを出します。笑顔は相手を心地よくして、受容的な態度は相手の心を開きます。
  2. ②共感する態度  お客様と心を共有する 共感とは、感情を共有することです。信頼関係がなければ、感情を共有することはありません。「凄い!」「さすが!」「良かった!」「大丈夫ですか」というように、相手の心に寄り添います。共感すると相手は心を開き、その結果信頼関係を深めます。

③心の余裕  受容することや共感するためには心の余裕が必要です。受容的で共感する態度を持つことを意識することで心の余裕が自然に生まれます。

 

1-4 初対面でも気後れしないために

初対面では、「これから話をするお客様は、どういう人だろう」と心配になり、気後れすることがあります。初対面でも気後れしないため方策を紹介します。

1.       挨拶
第一印象を決める第一関門が挨拶です。先手必勝。相手より深く長くすることが勝利だという気持ちを持つと、丁寧な挨拶ができます。

2. 相手の目を見る
相手を見ないことは、相手を無視していることと同じです。人間にとって無視されることは辛いことです。初対面の時に、相手の目を見られない時は、相手の鼻やネクタイの結び目を見ましょう

 

1-5 コラム たかが挨拶?いまさら挨拶

「挨拶はきちんとしなさい」と子供の頃から教育されてきました。何故、挨拶をしないといけないのでしょうか。

まず、挨拶とは、どのような心理的な影響力を持つのかを考えてみましょう。

皆さんが出勤して、上司に挨拶したとします。上司は忙しかったと見えて、書類に目を通したままで挨拶を返してくれませんでした。あなたは寂しい思いをして、そのことをいつまでも覚えていることでしょう。

人間は社会的な動物です。他人が自分をどのように評価しているのかが大変気になり、自分の存在を認めて欲しいという欲求があります(「自我の欲求」といいます)。挨拶は、どの文化にも見られる行動であり、「あなたの存在を認めています」という意思表示です。このようなことから、挨拶をしないということは、相手の存在を認めないということと同じ意味になります。これは人間にとって、いたたまれないほどの仕打ちです。例えば、「いじめ」で一番辛いのは「しかと」です。悪口を言われるのは、まだ存在を認めていますが、挨拶をしないことは、相手は酷い仕打ちと捉えられるのです。相手が自尊心の高い人であれば、怒りを買うことにもなりかねません。

このようなことから、どんなに忙しくても挨拶は欠かしてはいけません。

「大きな声で明るく」挨拶をすることは、相手の大脳にあり感情関連する組織に直接働きかけ、快感情を呼び起こすことにもつながります。そうすれば、お客様や上司との関係も良好になるはずです。

 

1-6 コラム 自分の様子をチェックしよう

アメリカの大学で、通路に大きな鏡を掛けて鏡の前を通る女子学生を観察しました。すると、魅力的だと言われる女子学生ほど鏡を見る回数が多いということがわかりました。鏡で自分を見る回数が多い人は「公的自己意識」が強い人だといいます。「公的自己意識」とは自分が他人からどのように見られているか、気にする心理です。「公的自己意識」が強いほど魅力的でありたいと考え、鏡の中の自分をチェックするというのです。

営業に出かけるときは、「公的自己意識」を高めるため、鏡を見ると良いということがわかります。

 

2 顧客の心理とは

訪問営業を受けたときと商店で購入する時のお客様の心理は異なります。その違いを見ていきましょう。

 

2-1 訪問営業を受けたときの顧客心理

初対面の人に対して警戒心を持つのは当然です。ですから、初回訪問のときには断りから入ると言って良いでしょう。その時のお客様の心理を考えてみましょう。

1.       警戒心
私たちは、初めて会った人には警戒心を持ちます。お客様は次のように考えるものです。
「この人は何物だろう」
「売りつけようとしている」

2.       変化への抵抗
私たちは、現状で業務がこなせていると、業務を変化させることを好みません。
「今のままで問題ない」
「新しいブランドを購入する気はない」

3.       仕事の邪魔
突然の訪問は、担当者の仕事の手を止めて、仕事の邪魔をすることです。
「早く追い返したい」
「営業マンと話している時間はない」
お客様は、このように考えているものですから、飛び込み訪問より事前にアポイントメントを取るようにすることや紹介を受けることが良いでしょう。

4.       断り
以上のことから、担当者から次の言葉が発せられることが多くなります。
「忙しい」「用はない」「これから出かける」「次の機会に」「アポがない」

ということで、営業マンが訪問したときは、断りから始まると言ったほうが良いようです。

 

2-2 商店で購入する時の心理

お客様が店舗で買い物をするとき、「自由に買い物ができる」「目的の品揃えがある」「ストレスがない」「価格が安い」「品質がよい」など店舗を選ぶ要素があります。

物品を購入するときにお客様が期待する心理として次のようなものがあります。

1.       損はしたくない、得したい
お客様客は「一円でも損はしたくない、一円でも得したい」と考えています。そのために、10円でも安い商品を購入するために遠くに買い物に出かけるのです。お得感を出すことが必要です。「お得な買い物をしましたね」というとお客様客は喜び、納得します。

2.       歓迎されたい
人間は大切に扱って欲しいという心理を持っています。ですから、「いらっしゃいませ」「いつもお世話になっています」など、感謝や歓迎の気持ちを表すことが必要です。

3.       特別扱いして欲しい
人間は他人から認められたいという欲求を持っています。まずは、丁寧な挨拶から始まって、基本は名前を覚え名前で呼ぶことから始めましょう。

4.       買わされると考える
店員と話をすると買わされると考えます。例えば、試食コーナーで店員と話をすると買わされると考えますので、話しかけると敬遠します。

5.       買った商品は良いものだと思いたい
「せっかく買ったものだから、良い商品であること」を信じたいという心理が働きます。「お求めになった品物は良いものですよ」というと喜びます。

 

3 アプローチのトーク

お客様とコミュニケーションをスムーズにするため、効果的なトークを身に付けることが重要です

 

3-1 情報収集のためのトーク

お客様のニーズを聞き出すためには、質問法が効果的です。質問法のポイントについて紹介します。無口なお客様も一言話をすると、次の言葉が出やすくなります。

1.       二者択一方式
予め2つの答えを用意して、お客様が答えやすくします。例えば、「今、関心をお持ちなのは、経済性ですか?それとも、操作性ですか?」と聞きましょう。このききかたなら、お客様も答えやすくなります。

2.       指定法
予め具体的な答えを用意して、答えやすくします。たとえば「車検は8月でしたよね」と聞きましょう。自動車を見ればわかることですから、お客様も「隠す必要はない」ということで、答えてくれるでしょう。

3.       強制肯定法
予め「その通りです」という肯定的な回答を期待した聞き方です。

いずれにせよ、お客様が簡単に答えられる質問を用意することです。

 

3-2 次回訪問のきっかけを作るトーク

商談は2回目以降の訪問も重要になりますが、次回訪問のきっかけ作りのトークについて紹介します。

1.       宿題を回答するための再訪のきっかけ作り
面談の中で、お客様の質問に敢えて答えない「宿題」を持ち帰ります。トークとしては「本日は大変勉強になりました。今日頂いた宿題について、調べてまいりますが、いつごろお伺いしたらよろしいでしょうか?」と聞きましょう。

2.       訪問する時間帯を聞く方法「本日は、お忙しいところ、お時間を頂戴してありがとうございました。〇〇様のお手すきの時間帯はいつごろですか?月末はお忙しいでしょうね」

3.       帰り間際の挨拶
「本日は、お忙しいところ、お時間を頂戴してありがとうございました。また、伺わせていただきますので、よろしくお願いします。」

4.       有益情報を届ける
お客様にとって有益な情報を届けることは、再訪のきっかけになります。「耳寄りの情報をお持ちしたいのですが、お時間を頂戴できますか?」

初回訪問で、会社に戻ったら、ハガキで良いので、お礼状を出しましょう。好印象を強く与える役に立ちます。お客様の言葉に共感したことを書くと、より心に残り効果的です。

 

 

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